リバーサップをはじめよう

1.リバーサップの現状

STAND UP PADDLE の頭文字をとって SUP(サップ)。それを川でするから リバーサップ。ボードの形や素材で区別するというより、川でサップに乗る事をリバーサップと呼んでいいと思います。自然の中で遊ぶには、ケガや事故に遭わないようにするために知っておかなければならない大切な事があります。

サップが日本に初めて伝わったであろう日から約20年近い歳月が過ぎ、水上を歩くような、駆けるような、はたまた立ち止まって浮いているような、これまでに簡単に味わう事の出来なかった感覚を得る事ができるハワイ発祥のウォータースポーツギアは、瞬く間に世界中に広まり、今や様々な国、地域で親しまれるようになりました。サップボードの中でもインフレータブル(空気を注入して膨らませる)タイプのボードが目覚ましく進化した事が、サップ愛好家を増やす大きな要因になりました。

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小さく折り畳まれたボード

ブロアー、ポンプで空気を入れます

ブロアー、ポンプで空気を入れます

たわみは少ないです

たわみは少ないです

空気で膨らませるので、折り畳めば軽くコンパクトになり、素材によっては驚くほど硬く頑丈になり、女性や子供でも取り扱いが簡単にできるようになっています。このインフレータブルサップ(空気を注入して膨らませる)が普及と進化をしたことにより、岩や流木、橋脚など固い障害物の多い河川域でも安全に楽しめるようになりました。

佐田沈下橋の前にて 四万十川

佐田沈下橋の前にて 四万十川

大歩危 オーバーハングの瀬を下る 吉野川

大歩危 オーバーハングの瀬を下る 吉野川

 

2.リバーサップ用のボードついて

リバーサップで使用するインフレータブルサップ(空気を注入して膨らませる)にも色々なタイプがあります。長さ・幅・厚さ・重さ、それぞれ一長一短で、乗り手・フィールドや川の水量・流れ方によってどれが最適化は決まってきます。

浮かべる水さえあればどこでも出来るのがインフレータブルサップの楽しいところですが川で楽しむ時には、海でする時とはちがった注意しなければならない点があります。これらは非常に大切なことで、ケガや命に関わる事なのでしっかり心得て対応する事が肝要です。

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3.ライフジャケットについて

川は海と違って真水です。体が沈んだ時には、泳ぎに自信がある方でもどんなアクシデントに巻き込まれるかわかりません。同行者に小さな子供やペットなどがいる場合にはプラスαで安全を担保してくれるかけがえのない道具になります。必ず装着するようにしましょう。その際、自分の体にピタッとフィッティングできるリバースポーツ用として製造されたモデルを選ぶ事が大切です。

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4.リーシュコードと装着方法

ボードから落水した際に、ボードと体が離れないようにするのがリーシュコードの役割です。サップは、サーフボードと同じくそれ自体が浮力のあるものなので、できるだけ遠ざかる事なく自分の手元にないといけません。

リーシュコードには、大きく分けてストレートタイプコイルタイプがあり、それぞれに利点があります。川には目に見えている所以外、すなわち水中にも岩や流木などの障害物が潜んでいることから、リーシュコード本体がボード本体よりはみ出る事の少ないコイルタイプを選ぶ事が無難であると思います。

ストレートリーシュ

ストレートリーシュ

コイルリーシュ

コイルリーシュ

そして、これが大切なことなのですが、リバーサップを楽しむ時にリーシュコードを足首やヒザに取り付けることは危険です!絶対にやめましょう!

ヒザに着けるのも危険

ヒザに着けるのも危険

足首に着けるのも危険

足首に着けるのも危険

なぜかと言うと、そういった状態で川で落水した時に、水中に潜む障害物に引っ掛り、水に流され足首やヒザに手が届かず自力では外せなくなったりするからです。欧米ではすでに死亡事故も発生しています。絶対にやめましょう!

ではリバーサップでは、体のどこにリーシュコードを装着しておくのが良いのか?それは手がとどく範囲でパドリングの邪魔にならないところウエスト周辺がベストと思います。そして万が一、何かにリーシュコードが引っかかった時のために瞬時にリリースできる(クイックリリース)機能を備えておくことが大切です。

リーシュをクイックリリースバックルのついたベルトに着用

リーシュをクイックリリースバックルのついたベルトに着用

ベルトを外すには余ったベルトを引くか、バックルについた目印を引いて外します

ベルトを外すには余ったベルトを引くか、バックルについた目印を引いて外します

クイックリリースベルトのついたライフジャケットにリーシュコードを着用

クイックリリースベルトのついたライフジャケットにリーシュコードを着用

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バックルについた目印を引くか、余ったベルトを引いて外します

5.フィンについて

リバーサップでは水中の障害物にぶつかることを想定して短く、柔らかいフィンを装着します。長いフィンや硬いフィンのままだと川底で擦ったり、岩に当たって人が落水したりフィンが壊れてしまうこともあるので注意が必要です。

柔らかなフレックスフィン

柔らかなフレックスフィン

こんなに曲がります

こんなに曲がります

6.ウエアについて

川の水が凍らない四国では通年でリバーサップを楽しむことができます。大きく分けると 春秋・夏・冬の3つのシーズンに大別できます。

春・秋

曇り・雨天・急流/ウエット上下にショーツ

曇り・雨天・急流/ウエット上下にショーツ

晴れ・清流・ツーリング/ロングジョンにウインドブレーカー

晴れ・清流・ツーリング/ロングジョンにウインドブレーカー

ウエットスーツの上にショーツを履く理由

ネオプレンというゴムでできたウエットスーツは破れると修理代金も高価になりがちです。ボードから落水して水中の岩にお尻がぶつかったり、休憩時に腰を掛けたりする時の保護としても重宝します。ほぼ黒一色なウエット生地に対してショーツの様々なデザインやカラーで個性を表すことも大きな理由になっています。

ネオプレンというゴムでできたウエットスーツは破れると修理代金も高価になりがちです。ボードから落水して水中の岩にお尻がぶつかったり、休憩時に腰を掛けたりする時の保護としても重宝します。ほぼ黒一色なウエット生地に対してショーツの様々なデザインやカラーで個性を表すことも大きな理由になっています。

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夏はやはり大切なのは紫外線対策。体がむき出しで楽しむリバーサップですから、直接日光を浴びないような工夫。落水時に岩などからの保護の為の工夫が大切になってきます。静水域では日除け効果の高いハットタイプの帽子を。流水域ではヘルメットの下にかぶれるキャップタイプの帽子が使いやすいと思います。

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ドラースーツ・前面

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首.手首はラテックスガスケット

後面

後面

ソックス一体型タイプ・サンダルを合わせたり

ソックス一体型タイプ・サンダルを合わせたり

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ウエストジッパータイプ

ウォーターシューズ

ウォーターシューズ

ドライスーツは決して安くはないウエアですが、頭部と手以外の全身を覆うウエアは真冬の最強ギアです。きっちっときこなす事によって体のムレを解放し、外からは1滴の水の侵入も許さないウソのようなホントのウエアがこの世には存在しているのです。

7.フットウエアについて

ボードの上に立って乗るサップ。足の裏は唯一ボードと体が接している部分になります。サーフィンがそうであるようにボードの挙動や水の動きをダイレクトに肌で感じることができる裸足が一番ベスト!と言いたいところですが、川においては裸足だと歩きにくい河原があったり、ボードから落水した時に水中の岩に当たったり、と裸足が怪我につながってしまうこともありシューズを合わせておくのが良い場合が多いです。ウエアと同じで様々な選択肢がありますし、季節によっても変わってきます。実際私たちが使っているものをここでは紹介します。

春・秋

夏・リバーサンダル(チャコサンダル)

夏・リバーサンダル(チャコサンダル)

ソックスとリバーサンダル(チャコサンダル)

ソックスとリバーサンダル(チャコサンダル)

春と秋は、サンダルだけだと冷たいけれど、ソックスそれもウールのソックス(綿やポリ、ナイロン素材では濡れると冷えます)やネオプレンソックスをリバーサンダルに合わせることが多いです。

夏・冬

夏・リバーサンダル(チャコサンダル)

夏・リバーサンダル(チャコサンダル)

夏・リバーサンダル(チャコサンダル)

冬・ウォーターシューズ

夏はリバーサンダル。日焼けが気になる方はソックスを合わせています。サンダルも何でも良い訳ではなくソールが濡れても滑りにくいもの、踵が固定できて水の中でも脱げないものを選んでいます。上の写真はアメリカのチャコサンダル。オススメの一つで、リバーガイドのために作られたサンダルです。
冬はウォーターシューズにウールソックスやネオプレンソックス。濡れても良いスニーカーでも良いのですが、水抜けがいい作りになっているウォーターシューズが使いやすいです。

チャコサンダルが使いやすい理由

Chaco・チャコは、アメリカのコロラド州でリバーガイドとして働いていたマークさんという一人の男性によって1989年に設立された会社で、履き続ける事により独自の成型フットベットが適正な骨格の保持をサポートしつつ、川だけでなく、陸上で履いてもオシャレで機能的かつ耐久性にも優れた品質です。万が一壊れた場合、全てのパーツが修正修理が可能なほぼ一生もののフットウエアであることが挙げられます。画像をご覧ください。秀逸なのは厚くてアーチのはっきりしたこのフットベットです。

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事実チャコの製造する全てのフットウエアがAPMA(アメリカ足病学協会)認証を受けて医学的にも保証されたプロダクトなんです。体幹が大切なスポーツであるサップにおいてこの恩恵は大きく、万が一このサンダルを履いて体のどこかが痛くなったり不快に感じることがあればまず自分の骨格の不具合を疑ってみるのも一考かもしれません。

8.ヘッドギアについて

ヘルメット

言うまでもなく頭部は人間にとって最も大切な部分であり起こり得るありゆるリスクから保護できるように備えておきましょう。リバーサップ専用として設計されたヘルメットをまだ知りませんが、現在はカヤックなどリバースポーツ用やサーフィン用などを流用しています。どの程度の河川難易度からヘルメットな装備が望ましいか問う人がいますが、その方の技術レベルや河川コンディションにもよりますし、アウトドアスポーツは自己責任で行うことを大前提としていることからも少しでも不安要素があるときはメンタルに余裕を持たせる意味でもヘルメットを着用しておく方が良いと思います。

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またヘルメットはカラーやデザインなど個性をアピールして楽しむことができるのが魅力でもあります。ヘルメットはデザインやカラーなど様々なものがありステッカーを貼ったりして個性を出すのも楽しみの一つです。

キャップ

静水や早瀬がない川、湖などでは帽子を被りましょう。特に夏場の晴天時は熱中症の対策にも有効ですし日焼け予防にも必須です。
ハットタイプ、キャップタイプどちらでも構いませんがサップを漕ぐ時の妨げにならないもの例えば水に濡れた時に記事が重くなったりする綿100%や風に飛ばされやすいつばの大き過ぎるタイプは避けた方が無難です。サップ専用に設計された帽子はこんな感じです。

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サイドがメッシュで熱がこもりにくい

あごひもが付いている

あごひもが付いている

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形のアレンジができる

つばに浮力体が入っていて水に沈まない

つばに浮力体が入っていて水に沈まない

また急流でリバーサップを楽しむ際にはキャップタイプの帽子をヘルメットの下に被ると見た目の個性も日焼け予防効果もアップするアイテムになるのでオススメです。

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